「経皮毒」が怖い人にささげるコラム④。経皮毒の研究論文を探してみた話。

トップ > その他 > 調べてみました > 「経皮毒」が怖い人にささげるコラム④。経皮毒の研究論文を探してみた話。
2023年6月24日 土曜日

「経皮毒」が怖い人にささげるコラム④。経皮毒の研究論文を探してみた話。

こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。

 


(日東書院本社 (2005/2/1)竹内 久米司、稲津 教久)
 

 
この本のおかしさと、この本に振り回される弊害について、続けます。
 
さて、SNSなどを見ていると、ある情報に触れ「これ、ホントかな」と首をかしげること、ありますよね。
そんなとき、情報の真の姿を知るために、お勧めなのが論文検索サイトです。
 
もっともポピュラーなサイトが「グーグルスカラー」。

 
これは、簡単に言うと、研究界のAmazonとか楽天の書籍検索みたいなもの。
ここでキーワード検索して、上がってきた結果を眺めていると、今、そのトピックが、そのジャンルでどのような扱いを受け、どんなホットな研究がおこなわれているか、ざっくり知ることができます。
 
では、問題のワードを検索してみましょう。
はい、こんな感じです。
↓↓↓

 
「経皮毒」という言葉を冠した論文はヒットしません。
つまり「経皮毒」は研究されたことがないし、研究している人もいないということです。
 
参考までに、「経皮毒性」で検索すると、たくさんの文献がヒットします。
『経皮毒』が出版される2005年より前から、いろんな物質の「経皮毒性」が研究されていますね。
↓↓↓

 
なぜなら、「経皮毒性」は、「経皮毒」とは違い、学術用語。
ある化学物質を、製品、また商品としようとするとき、安全性の確保のために「経皮毒性」の有無や程度を明らかにすることは、重要だからです。
 
生活用品を扱うメーカーも、それぞれ独自の研究機関を抱えていて、そこで厳しい安全性チェックを潜り抜けたものを、商品として売り出します。あとで消費者の健康被害などが明らかになったら、メーカーは多大なイメージダウンを受け、莫大な補償金を払わなければならなりませんから。
 
だから、たとえば洗剤の経皮毒性についても、膨大な先行研究がありますが、『経皮毒』著者は、こういった先行研究を無視した形で『経皮毒』を書いているのです。
 
余談ですが、
試しに、日本語文献に強い論文検索サイト「サイニ―」でも、「経皮毒」を検索してみました。
すると・・・。
 

 
↓↓↓

 
・・・ん?
あっ。「経皮毒」を扱った論文がある!
 
・・・しかし、読んでみて納得。
↓↓↓
『中国における洗剤のリスク情報に関するフロー分析』大矢 勝, 宋 亮(繊維製品消費科学/56 巻 (2015) 1 号)
 
この論文は、洗剤についての研究の権威、横浜国立大学の大矢勝先生の書かれたもの。
内容は、「経皮毒」を含めた「不適切な情報」「非科学的な情報」がどのように社会に伝播するかについての調査論文でした。
 
つまり、皮肉にも「経皮毒」は、この論文において「不適切な情報」扱いで学術的トピックとなったわけです。
 
ちなみに、この大矢先生は、このような、消費者に寄り添った研究を熱心にされています。
上の論文も読みごたえがありますし、
特に「経皮毒」と、それが広まる社会の問題について掘り下げた読み物がこちらです。
↓↓↓
『安全性・環境問題に関する消費者情報の課題―2.5 次情報中の誤情報に対応するために―』
(大矢  勝 シリーズ くらしの最前線2010 年 61 巻 8 号 p. 511-516)
 
ダウンロードできますので、是非ご一読ください。
真に消費者のことを考える研究者が書いた文章というのは、こういうものだと思います。




関連記事

  1. 「経皮毒」が怖い人にささげるコラム ③「経皮毒の部位別吸収率」という妄想の出所についての話。
  2. 「経皮毒」が怖い人にささげるコラム ②なんで人々がこの本にやられちやうか考えてみた話。
  3. 経皮毒が怖い人に捧げるコラム ①『経皮毒』読後感を語ってみた
  4. 粉ミルクの発がん性が気になるママへ。その3
  5. インフルエンザ、家族への感染予防対策。
  6. 粉ミルクの発がん性が気になるママへ。その2
  7. 粉ミルクの発がん性が気になるママへ。その1
  8. 「愛情たっぷり手作り料理」に物申す!。その2
  9. 「愛情たっぷり手作り料理」に物申す。その1
  10. 料理酒にはなぜ塩が入っているのか。
Top