「経皮毒」が怖い人にささげるコラム ②なんで人々がこの本にやられちやうか考えてみた話。
こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。
①『経皮毒』読後感を語ってみた
②なんで人々がこの本にやられちやうか考えてみた話。
③「経皮毒の部位別吸収率」という妄想の出所についての話。
④経皮毒の研究論文を探してみた話。
『経皮毒』という本のおかしさと、この本に振り回される弊害について、続けます。
今回は、みんななぜこんなにこの本にやられてしまっているかという話。
(日東書院本社 (2005/2/1)竹内 久米司、稲津 教久)
今日は、37ページ~「『経皮毒』のすさまじさを教えたサリン事件」という章をご紹介します。
このタイトルからして、非常に不正確であることは、皆さんもすぐ気が付くでしょう。
一般的には、サリン事件が教えたのは、オウム真理教という教団の恐ろしさと、サリンという化学兵器の恐ろしさです。
それに、この事件の被害のほとんどは気化したサリンの吸入によるものです。
とはいえサリンは確かに皮膚から経皮吸収もされる毒物です。
ここに書かれている、被害者の帰宅後の二次被害が報告されていても不思議ではないし(事実確認まではできませんでしたが)、私も事件当時「二次被害防止のため、被害者の遺族が遺体に触れることすら許されなかった」という報道を見ました。
しかし、「経皮吸収される」のは、あくまで「サリンの特性」。
「化学物質一般の特性」ではありません。
これらの区別を曖昧にしようという意図がこのタイトルにはあります。
さらに、全文を読んでみてください。まっさらな気持ちで。
↓↓↓
どうでしょう。
これを読むとあたかも「身の回りの化学物質は、濃度の低いサリンのようなものである」という感じがしてきませんか。特に、①と②の部分。
大きな前提として、サリンは生物の殺傷を目的として開発された化学兵器、
一方、筆者がこの本で「化学物質」として扱っているのは、シャンプーや歯磨き粉などの、身の回りの実用的な化学製品ですが、
筆者はこれらのものを「化学物質である」というくくりだけで同一線上にあつかい、以下の三段論法の世界に読者をいざなっています。
↓↓↓
●2 私たちの周りにあるのは化学物質だ。
↓↓↓
●3 私たちの周りにある化学物質は経皮吸収される有毒なものだ。
この論法は原始的、かつ、幼稚であり、科学的論法からはかけ離れています。
ちなみにこの本は徹頭徹尾こんな感じです。
この本が専門家に完全スルーされているのは当然といえるでしょう。
・・・けれど。
こういう三段論法は、原始的であるからこそ、人を動かしてしまうことがあるのです。
とくに、不安を抱えた人を。
そして、もっとも根源的な「不安」を抱えた「子供の将来を思う母親」こそ、そのいい餌食なのです。
「経皮毒の怖さ」を発信、拡散している人の多くが母親であるのは、当然なのです。
●次回③「『経皮毒の部位別吸収率』という妄想の出所についての話」
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