「ワセリンは石油由来で不自然だからアトピーに悪いですよね?」に答えてみる。 その1

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2019年9月23日 月曜日

「ワセリンは石油由来で不自然だからアトピーに悪いですよね?」に答えてみる。 その1

こんにちは。
子供たちのアレルギーが食事で治りました!
いまも三人育児に奮闘中の佐々木愛です。

 
さて、当サイトには時折、アトピーに悩む読者さんから質問をいただくのですが、
最近、ワセリンについて何度か、こんなご質問をいただきました。
 
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「ワセリンは、石油由来で不自然だから、アトピーに悪いですよね?」
 
それについて、あれこれやりとりをしてお話ししたので、
その内容をまとめてアップしてみようと思います。
 
 
■「ワセリンは石油由来か」・・・はい、そうです。
ワセリンは、石油から得られた炭化水素の混合物を精製・脱色して得られる物質です。
 
「やっぱりそうなのね!
つまりワセリンってプラスチックみたいなものってことでしょ?」
 
みたいなことを読者さんに聞かれたことがあるのですが、ちがいます。
 
石油は確かにプラスチックやビニールの原料です。
ですが、だからと言って、ワセリンの原料がプラスチックやビニールであるわけではありません。
 
「でも、石油でしょ?
つまり化学物質ってことでしょ?」
 
それは、多分誤解です。
そもそもみなさんは、石油って、なんだか知っていますか?
 
 
■「石油由来は不自然か」・・・その前に、「自然」とは?
 
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石油のもとは、ケロジェンとよばれるもので、これは、大昔のプランクトンの死がいの中に入っていたものだと考えられています。
 
プランクトンとは、海の中にいる小さな生物のことですが、このプランクトンが死ぬと、死がいは、土や砂といっしょに海の底に少しずつ積み重なっていきます。
 
そして、そのプランクトンの死がいの上には、数百万年、数千万年という長い年月の間に、砂やどろが積み重なっていくのです。
 
そして、プランクトンの死がいは、しだいに土の中の深いところにうもれていくわけです。
その後、死がいは、あるとき、土の中にいるバクテリアと地下の熱の働きで、「石油」に変わったのです。

(学研キッズネットより)
以上が最新の説のようです(サクッと知りたいときは子供向け解説が一番(^^)!)。
 
ちなみに原油はこんな感じ。
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つまり、
石油って、大昔のプランクトンが長い時間をかけて変化したものなわけで・・・
 
そう、ザ・自然物質! なわけですよ!
 
その石油から、不純物を取り除いて、炭化水素の混合物を精製・脱色して得られる物質がワセリンです。
添加物はないので、原油由来100%と言えますね。
 
すると、
たとえば岩塩のみから精製された塩を「自然由来」と言うならば、
原油のみから精製されたワセリンも「自然由来」と言っていいはずです。
 
そして、そもそも、
自然が安全で、人工は危険、というイメージは、現実に即していません。
 
私たち人間は、生まれたままの姿で森へ入ることすらできませんよね。
 
自然は私たち人間のための自然ではないので、とくに人間に対する優しさを持ちません。
そこにある全てのもの、無機物も、微生物も、虫も、植物も、動物も、私たちにとって脅威となります。
 
だからこそ私たちの祖先は、人智を使ってそれを作り替えたり加工したりしてきたのです。
「自然素材」「自然由来」とうたわれる商品も、人間が管理した環境で人間のために作り上げたものといえます。
 
そのような考えから、
私は「ワセリンは石油由来だから不自然だ」というとらえ方には賛成できません。
 
そして、「ワセリンは石油由来で不自然だから体に悪いらしい」と言って、ワセリンを使わない方たちが、おおむね、そんな漠然としたイメージ以上の情報を持っていないことも気になります。
 
また、そういう方は、おおむね、
「ワセリン、ステロイドは不自然なものだから使ってはいけない、
アトピーは自然治癒力に頼って治すべきだ」
という考えを持っておられることが多いです。
 
私はこの考えには反対です。
 
というのは、私がこの活動において実感するに、
もっとも「不自然(この言葉には語弊がありますが)」なのは、私たち現代人の食生活であるからです。
特に、植物油(リノール酸)の取りすぎにより、身体が炎症体質に傾いていることです。
 
人間には確かに自然治癒力があります。
しかし、その前に、食事のかたよりという根本的な問題に立ち入らない限り、自然治癒力の力ではおいつかない場合が多いと、私は実感してきました。
そして、その過程で、ワセリンなどの保湿剤やステロイドは大きな助けになります。
 
しかしながら、いわゆる「自然派」のスタンスは、
ステロイドやワセリンを否定するだけでなく、
この植物油すら、「植物性のものは自然、だから安心」という漠然としたイメージの中にかくまってしまいがちです。
(それが無添加の玉締め絞りごま油・・・などのこだわりがあったとしても、じっさいにはリノール酸の割合に大差はありません)
 
「自然の」という言葉には、常に、漠然とした、美しく優しいイメージがつきまといます。
そして「人工の」には、私たちの力をそぐようなイメージがあるかもしれません。
 
しかしそれを現実世界に当てはめようとするのは危険である、ということです。
 
 
●とはいえ、アトピー患者さんに無条件にワセリンを勧めるわけではありません。
次回はワセリンはアトピーに悪いかについて書いてみます。




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