娘Mの顔のあざと、佐々木が久々にビビった話。後編

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2016年8月19日 金曜日

娘Mの顔のあざと、佐々木が久々にビビった話。後編

 
 

さて、私はとにかく、MのSW症候群の疑いについて、総括的な話を聞きたいと思いました。
そこで、主治医に「小児科医と話したい」と訴えました。
 
すると意外にも、小児科医はすぐに、産科まで来てくれました。
 
しかも、一番偉い先生が!
 
 
■小児科のI先生の話。
小児科医、I先生は、私が泣き腫らしていることと、SW症候群をつよく疑っていることに、まず驚いていた。
 
そして私が、
「SW症候群が疑われる場合、頭部のMRIを撮って病変の有無を確認するそうですが、それをお願いできますか」
と聞いたら、
 
「お母さん、まずは落ち着いてください」
と言った。
 
I先生は、とても穏やかで、あたたかみのある先生だった。
曰く、
 
・Mちゃんのあざは、すすんでSW症候群を疑うほど典型的なものとは思えない。
 
・確かに、SW症候群を疑う場合、必要に応じてMRIを行うケースもある。
だが、新生児に行うにはリスクもある。
 
また、例え病変が発見できなくても、SW症候群を完全に否定できるわけではない。
 
更に、万一病変が見つかったとしても、SW症候群の発症を止められるわけではない。

以上のことから、現時点でMRIを撮るメリットを感じない。
 
「……でも、少なくとも、現時点で病変が発見されなければ、私は安心できると思います」
と言ってから、
 
「……それは、娘のためというより、私のためかもしれませんね」
と気づいた。
 
「そうですね」
 
「娘にとって、MRIを受けるメリットがあまりないことはわかりました。
 
でも、すると今後は、娘がSW症候群を発症する可能性に怯えながら過ごさなければならないわけですよね。
 
それがすごく不安なんですが……」
 
「うん、今の佐々木さんは、SW症候群のことがすごく心配ですよね。
 
でも、急に発症する子供の病気は、SW症候群だけじゃない。他にもたくさんあるんですよ」
 
先生はそう言って、病名らしいものを、指を折りながらいくつか挙げた。
もちろん、しらない単語だった。
 
「……その1つ1つを同じように心配していたら、きりがない。
SW症候群は、そのひとつに過ぎない。
娘がSW症候群である可能性はその程度だ……ということですか?」
 
「可能性については、はっきりしたことは言えません。
 
ただ、まだかかってもいない病気に、お母さんが詳しくなる必要はありません。
 
随分勉強されたようですが、今のお母さんの状態じゃ、退院してから、一人で煮詰まっちゃうでしょ。
ただでさえ産後は大変なのに。
 
上のお子さんはいるんですか?」
 
「います。3歳と6歳が」
 
「そりゃ~、大変だ。
じゃあ、お母さんはネットサーフィンなんかしてないで、お子さんたち自身を見なきゃ。
 
ね、もう、SWのことは忘れちゃったらどうでしょう。
 
Mちゃんに必要な検査は、私たちがちゃんと把握していますから」
 
「……調べるの、やめていいんですか。全然必要ないですか?」
 
「お母さんは、お子さんがいつもと違うことに気づければ十分です。
 
何かあったら、すぐに来てください。
私たちが責任をもって、診断、治療にあたります」
 
「……娘のために、私にできることは?」
 
「明るく元気に育てることです」
 
I先生の話を聞きながら、肥大していた不安が縮んでいくのがわかった。
 
なくなりはしなかったけど、手のひらに収まるぐらいの、扱いやすいサイズになってくれた。
 
 
■主人曰く。
退院の日、院内でランチをとりながら、前日のことを主人に話した。
 
主人は私を労ってから、
「話の順序が悪すぎる」と言った。
 
「そのI先生の話を最初に聞ければ、君もおかしな状態にはならなかったろうに」
 
「たしかにそうだね」
 
「しかも、ホルモンバランスが崩れまくってる産後にさ。そのへんは病院として改善の余地があるね」
 
「手厳しいなあ」
 
でも確かに、主人の言う通りかもしれない。
伝える時期や、内容からして、もっと「伝え方」が大事にされていいように思う。
(今度、主治医に意見しよう)
 
ちなみに主人は、SW症候群を知っていた。
最初の診断を聞いた時点で、彼なりに調べたそうだ。
「だって、情報はないよりあったほうがいいし」
 
でも、元来ビビりの私には伝えない方がいいと思ったらしい。
「だって、まだ何も起こってないし」
 
……まったく、いい性格してるよ!
ああ、羨ましい(゜ロ゜)・・・。
 
 
■後日談。
そんなわけで。
MがSW症候群かどうかは、不明のまま。
 
私は「不安にとらわれない」という、長期的な、ビビりにとっての難題に、取り組む羽目に……(笑)。
 
とはいえMの顔のあざは、毎日目に入って来るわけで。
ときには、不安に襲われたり、またついSW症候群を調べたくなることもあります。
 
しかし、元気一杯の子供たちがいると、暗い顔をしているわけにもいきません。
独り身だった時みたいに、自分のケアに費やせる時間も、そうないし。
 
もちろん、課題によっては、子供と苦悩を共有すべきケースもあるでしょう。
しかし今回は、そうとも思えません。
 
そんなときは、
 
避けたいことに注目するのではなく、
「こうなりたい」という理想の状態を思い描き、注目するとよいようです。
(あ、もちろん、主人の受け売りです( ^∀^))
 
「こうなってしまわないためには、どうしたらよいだろう……(((・・;)」
ではなく、
「こうなるためには、なにからしたらよいだろう(^o^)/?」
と考えること。

 
私は明るく前向きになりたかったので、
「不安に襲われたら、Mのとこに行って、抱き上げて、Mがいま元気なことに感謝する。
ついでに上の二人も抱き締めとく」
というマイルールを作ってみました。
 
これ、すごくうまくいってます。
 
普通は、気持ちが行動を起こしますよね。
でも、行動が気持ちを起こすってことも、すごく、あるんです。
私はこのルールを守ることで、つねに、感謝の気持ちに溢れたポジティブな状態でいられています。
 
 
Mはやっと、生後三週目。
顔には赤いあざがありますが、今日もとっても元気です。
 
明日も元気でありますように。
 

●後日談「娘Mの赤いあざの経過と、佐々木が主治医に意見した話。」へ続く。




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