「体にいい油」という幻想。

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2017年3月6日 月曜日

「体にいい油」という幻想。

■あまに油は体にいい?
最近、あまに油(またはしそ油)が、ずいぶんポピュラーになりましたね。
 
あまに油と言えば、α-リノレン酸(オメガ3)が豊富に含まれる油。
α-リノレン酸は、炎症をおさえ、血液をやわらかくしてくれます。
 
その結果、
 
・アレルギーの改善
・動脈硬化、高血圧、心臓疾患の予防
・コレステロールを下げる

 
などなどの、たくさんの健康効果が期待できます(詳しくはこちら)
 
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(カナダ フローラ社さんのあまに油)
 
このα-リノレン酸、現代人には常に不足しがち。
ですから、テレビでも、ネットでも、「だから積極的に摂りましょう」と言われています。
 
「癖がないから、とにかくなんにでもかけましょう」という人もいれば、
「朝晩、大匙一杯ずつ飲みましょう」という人もいます。
 
テレビでその効能が取り上げられた翌日、スーパーの棚が空になる、ことも何度かありました。
 
そして最近、ママさんたちにこんなことを聞かれます、
「あまに油だったら、気にしないで使っていいんですよね?」
「あまに油、すぐなくなっちゃうんですけど、どうしてもっと大きい瓶がないんですかね?」

 
 
■過ぎたるは及ばざるがごとし。
あまり知られていないと思いますが、オメガ3の過剰摂取にも、副作用があります。
「血を柔らかくする」はたらきが行き過ぎるのです。
その結果、げっぷ・吐き気・鼻血・軟便、出血が止まらない、脳溢血(詰まる系の反対の、溢れる系ともいう疾患)などを引き起こす可能性があります。
また、早産のリスクも上がります。

 
また、アトピーの人にはあまに油で調子が悪くなる人がいます。
このサイトの監修をしてくださっている伊藤龍一さんも、私の友人のKちゃんもそのタイプ。
 
ですから、アトピーの本には、あまに油について注意を促しました。
 
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(拙著『アトピーが消えちゃった! マンガでわかる体質改善』より)
 
一時的な過剰摂取であれば、大きな問題ではないでしょう。
しかし、長期にわたった場合、人間の体がどうなるのか・・・はよくわかっていないようです。
 
なぜなら、「オメガ3の慢性的な過剰摂取」という状況は、とっても起こりにくいから。
 
ただ、例外的に、海獣を主食としていたかつてのイヌイットは、「オメガ3の慢性的な過剰摂取」にありました。
そして、確かに心筋梗塞や脳梗塞などの「つまる系」疾患はとても少なかったようです。
 
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(マクタックと呼ばれる皮下脂肪をさばくイヌピアック・エスキモーの女性=米国アラスカ州バロー近海、北極海の海氷上で(河内真樹子撮影))
 
ただ、彼らの平均寿命は68歳と短く、とても長寿とはいえません。
(ちなみに脳溢血と思われる突然死が多かったそうです。
とはいえ、イヌイットの生活は、他の条件も非常に特殊な点が多いため、オメガ3の過剰摂取が短命の原因と言えるかは不明)
 
また、以前NHKで彼らの特集がされたとき、子どもの鼻血が止まらない様子が映っていたそうです。
 
やはり、彼らの食生活を理想的としてしまうのは危険だと思います。
 
 
■魔法の食材はありません。
あまに油の過剰摂取の副作用については、調べてみると、大抵こう書いてあります、
「そんなことは起こりにくいから、心配無用」。
 
ほんとうにそうでしょうか。
 
私は、いま現在も、あまに油を飲むように過剰摂取している方がいるはずだと考えています。
なぜなら、メディアはあまに油を魔法の薬のように宣伝しているし、あまに油は今やどこでも手に入るからです。
 
いまや、食卓にのるものを決めるのは、季節でも、地域性でもなく、「ごはんの作り手の脳内イメージ」です。
お金さえあれば、作り手は、自分の脳内にある食卓を再現することができます。
作り手が「これは、とにかく良いものだ! 摂るべし」と決めてしまえば、「それ」は365日、食卓に上がり続けるのです。
 
しかし、残念ながら、「とにかくよい」食材はありません。
どんなものでも、摂りすぎれば、よくないことがあるのです。

 
食事というものは、献立の全体であり、それをとりまくさまざまな条件を反映して、絶え間なく移り変わってゆくべきものです。
 
大切なのは、身体と対話し続けること。
 
体内の油のバランスを整える時期なら、「あまに油を、朝晩、スプーン一杯」もいいでしょう。
でも、症状がなくなったら、あまに油は、「油を使うなら」程度に。
 
アレルギーのなかったころの日本人は、あまに油を飲んだりしていませんでした。
 
オメガ3は、魚から摂りましょう。
あなたが今日、スーパーで買いたくなった、旬の魚から。
 
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