「生クリームロール」なのに、植物油脂が主原料?

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2017年1月13日 金曜日

「生クリームロール」なのに、植物油脂が主原料?

生クリームとホイップクリームの違いと、「生クリームロール」の真実を追ってみた連載記事です。
1 生クリームとホイップクリーム
2 ホイップクリームは植物性脂肪って、常識?
3 「生クリームロール」なのに、植物油脂が主原料?
4 「生クリームロール」はおいしいけれど。

 
 

さて、今回は話を具体的にするために、話題にする商品をあきらかにしておきます。
 
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こちらが、私がクリスマスに驚かされたという、例のロールケーキ。
ヤマザキのプレミアムスイーツというシリーズの、「生クリームロールケーキ」です。
 
私はこの表示について、いくつか疑問を覚えました。
そして、好奇心から、いろいろ確認してみたいと思いました。
 
まず、ヤマザキさんに問い合わせてみたところ、以下のことが明らかになっています。
1 原材料の「ホイップクリーム」は植物性油脂である。
2 ホイップクリームと、生クリームとの比率は、企業秘密なので答えられない。
3 ただ、「原材料の冒頭にホイップクリームがある以上、クリームの少なくとも五割以上はホイップクリームということになりますね」との問いについては、「はい」との返答をいただいた。
 
それではまず、この商品の表示における私の疑問と、それにかかわる(であろう)法律を整理してみます。
ざっくりと!
 
 
■疑問いろいろ。
★疑問その1 なぜ「ホイップクリーム」の原材料(植物油脂)の表示がないのか。
 
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おもて面はともかく、裏を見ても、この商品の主原料が植物油脂であるということがわかりませんね。
 
該当するであろう法律: JAS法に基づく加工食品表示基準第4条(2)
 
これについては前回まとめたので、そちらをご覧ください。
 
 
★疑問その2 「生クリームロール」という商品名にもかかわらず、クリーム部分の主原料は植物油脂である。問題はないのか。
 
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「生クリームロール」という商品名は“生クリームが主原料、または100%使用されているロールケーキ”であるという誤解を招きかねないのではないでしょうか?
 
該当するであろう法律: 景品表示法第5条第1号 優良誤認表示の禁止
 
優良誤認とは、「実際や事実と異なる表示」で「一般消費者に対し著しく優良だと誤認される表示」をすること。
(例1:国内産原料のみを使用、と表示していたが、実際には国内産原料以外も混ざっていた。
例2:80種類もの栄養成分配合と表示していたが、実際には30種類だった。等)
 
「生クリーム」は一般的な食品名なので、これを商品名に使うことについては、とくに規定はありません。ただ、消費者の誤解を招かないようにしなければならない、という条件付きです。
 
もし、原材料に「ホイップクリーム(植物油脂)」という記載があれば、納得できます。
ただ、「ホイップクリーム」の原材料が明示されていない以上、“生クリームが主原料、または100%使用されているロールケーキ”である、という誤解が生じた場合、それを解く機会は得にくいと思うのです。
 
 
★疑問その3 キャッチコピーが紛らわしいように感じる。問題はないのか。
 
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「(前略)北海道産生クリーム入りのホイップクリームを巻き込みました。」となっていますが、
疑問その1で示したように、「ホイップクリーム」が「植物油脂」であるという認識が消費者に欠けていると仮定すると、このうたい文句は
「北海道産の生クリーム入りの(普通の生)クリームを巻き込みました」と読めてしまわないでしょうか。
 
つまり、このキャッチコピーは、「生クリームのみ使用したロールケーキだ」という誤解が生まれた場合、それをさらに補強してしまう可能性があると思うのです。
 
該当するであろう法律: 景品表示法第5条第1号 優良誤認表示の禁止
 
 
★疑問その4 「北海道産生クリーム」の使用割合の記載がない。問題はないのか。
 
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該当するであろう法律: 加工食品品質表示基準第5条 特色のある原材料等の表示
 
原材料として、特色のある原材料を使用したことを示す場合は、それをどのぐらい使ったか、使用割合を表示しなければならない、とされています。
 
「北海道産生クリーム」は「特色ある原材料」のひとつ「特定の原産地のもの」に当たると思われますが、パッケージには、クリーム全体における北海道産生クリームの使用割合の記載がありません。
 
これは表示義務を果たしていないように思われますが・・・。
 
ただ、これについてはちょっと解説が必要で。
というのは、加工品の場合、使用割合を書かなくちゃいけないのは、同一の種類の原材料に占める割合、なんですね。
 
え、わかりにくい(・_・;)?
 
つまり、
ハンバーグを作るとして、フツーの牛肉と、神戸牛をまぜて作った場合
↓↓↓↓↓↓↓↓
「牛肉」における神戸牛の割合を表示する義務が生じる。
 
でも、
エビシューマイを作るとして、豚肉と、国産海老をまぜて作った場合
↓↓↓↓↓↓↓↓
豚肉と国産海老は別の原材料だから、シューマイのタネにおける国産海老の割合を表示する義務はない
国産じゃない海老と、国産海老を混ぜていない限りは!ってことです。
 
ホイップクリームと生クリームで作られたクリームについては、この二つ目のケースなのではないか、と推測するわけです。
 
つまり、
「ホイップクリーム」と「生クリーム」が、「同一の種類の原材料」ではない、という見地から、北海道産生クリームの割合の表示がないのでは?
とおもうのです。
 
だって、見方によっては「ホイップクリーム」と「生クリーム」、まったくの別物ですから。
マーガリンとバターなみに。
(マーガリンとバターのほうは、原材料が違うという認識が消費者にあるように思いますが)
 
ちなみに、特定の原材料の使用が、同一の原材料の中で100%だった場合、割合は書かなくていいってことになってます。
 
そう考えると、ヤマザキさんの「割合はお答えできません」も納得がいく。
 
まあ、これは私の勝手な想像なんですけど。
 
・・・うーん、もしそうだったら、
なんというか、
ほえー、すごいなあ・・・(゜o゜)、という感じがする(笑)
 

今回、一番気になったのはここです。
うーん、ほんとのところは、どうなんだろ・・・。
 
 

■問い合わせてみよう!
さて、ここまで調べると、せっかくだからプロの意見をきいてみたくなるもの!(←わたしだけ?)。
こうやって、新しい世界のことを少しずつ知っていくのが、ものすごく楽しいヽ(^o^)丿
(正直あんまり、怒りとか、そーゆーのはない・・・(笑))
 
ってことで、消費者庁に問い合わせてみることにしました。
 
ちなみに、加工食品の表示問題を扱っているのは農林水産省消費者庁ですが、
加工食品表示基準は食品表示企画課、景品表示法は表示対策課の管轄。
 
ああ~、だけど、
赤ちゃんと三歳と六歳がいると、なかなかそんな時間がとれないです!

 
旦那の休日を狙って、またアップします(゜_゜>)!
「生クリームロール」はおいしいけれど。 ~生クリームとホイップクリーム その4(終)~




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