タミフルは危険か。その1 

タミフルは危険か。その1 

さて、二月一日から家族が次々にインフルエンザに倒れた我が家。
それに関連して、気になることがいくつかあったので、紹介がてら、記事にしてみます。
 

昨日、友人のママと、公園でインフルエンザについて話していた時のことです。
私が、「息子にはイナビル、娘にはタミフルを服用させたよ」
と言ったとき、彼女は驚いた顔でこう言いました、
「えーっ、愛さんてタミフルとか飲ませない人だと思ってたあ~」
 

・・・あっ、それ、よく言われるフレーズ・・・(笑)
 
 

■タミフルとは
ではまず、タミフルについてちょっとおさらいしましょう。
 
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タミフルとは、インフルエンザ・ウィルスの増殖を抑える薬。
発熱から48時間以内に飲み始めれば、高熱に苦しむ時間を最大1-2日短縮してくれます。
 

が、2000年代半ば、十代の若者二人がタミフル服用後に異常行動をおこし死亡する事故が。
タミフルの副作用ではないのかと、メディアで大きく取り上げられましたね。
この後、特に10代の患者の、タミフル服用後の異常行動の報告が相次ぎました。
 

しかし、これらの事故が本当にタミフルの副作用によるものなのかどうか、
症例が少なすぎるため、はっきりしたことはわからないまま。
(3500万人の使用実績があり、異常行動による死亡例は五人)
2007年以降は、念のため10代の患者にはタミフルの使用を制限する、という措置がとられています。
 
●タミフル服用後の異常行動について(緊急安全性情報の発出の指示)厚生労働省 医薬食品局安全対策課
 
 
・・・この辺りまでが、当時、テレビがセンセーショナルに繰り返していた情報の、すべてではないでしょうか。
 
 
■抗インフルエンザ薬の現在。
ちなみに、タミフル後、リレンザ、イナビルなどの吸入タイプの新しい薬も登場。
特にイナビルは、一回の吸入ですむし、よく効くので、今はタミフルに代わって主流となったようですね。
 
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ただ、まだうまく吸入ができない3歳未満の子供には、やはりタミフル(ドライシロップ)が処方されます。
ですから、小さい子供を抱えたお母さんは、今でも「えっ・・・あのタミフル・・・!」と、副作用の恐怖に怯えている状態なわけです。
 
 

■タミフル情報には続きがあった
さて、先ほど触れたように、2007年から、10代の患者に対するタミフルの使用は制限されました。
では、その後、インフルエンザにかかった子供たちの、異常行動は減ったのか?
 

いいえ、意外なことに、減らなかったのです。
 

●インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究 国立感染症研究所
 
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表は、上記の研究報告の中の、
「重度の異常な行動」が起きた症例における、服用していた「薬の組み合わせ」を表しています。
(「重度の異常な行動」は、突然走り出す/飛び降り/その他、予期できない行動であって、制止しなければ生命に影響が及ぶ可能性のある行動、と定義されています)
10代へのタミフルの処方が制限されたのが2007年ですから、その翌年から翌々年までの結果です。
 
まず、この年、インフルエンザ罹患中の重度の異常行動は、179件起きていますね。
その中で、
タミフルのみ服用していた・・・25件
リレンザのみ服用していた・・・11件
アセトアミノフェン(解熱剤)のみ服用していた・・・21件
薬を服用していなかった・・・35件
となっています。
(ちなみに、年齢では、14歳までの若者が非常に多く、性別では男性が多い)
 
タミフル以外の薬を服用した後にも、重度の異常行動が起きていることがわかります。
それ以前に、何も服用していなくても、かなりの数の重度の異常行動が起きていることに、驚かれませんか。
 
この調査結果は、2013年の分まで掲載されています。
しかし、どの年においても、タミフル服用後だけでなく、ほかの薬の服用後も、また、何も服用していなくても、一定の割合で重度の異常行動が起きているのです。
そしてこの研究報告は、タミフルと異常行動の因果関係は不明と結論付けています。
 
つまり、タミフルの副作用かどうか以前に、インフルエンザに罹った子供は、基本的に異常行動を起こす可能性がある。
・・・という事実を、この研究報告はまず、明らかにしているのです。
 
 

■異常行動とは何か。
厚生労働省ホームページ「インフルエンザQ&A」に、“異常行動”として次のような例が挙げられています。
 
 ・突然立ち上がって部屋から出ようとする。
 ・興奮状態となり、手を広げて部屋を駆け回り、意味のわからないことを言う。
 ・興奮して窓を開けてベランダに出ようとする。
 ・自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない。
 ・人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す。
 ・変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る。
 ・突然笑い出し、階段を駆け上がろうとする。

 

異常行動は、寝ている間や睡眠中に突然覚醒して起きることが多いとされています。
実は、今回、5歳の息子Pにも、インフルエンザ発症時に異常行動のようなものが現れました。
 
インフルエンザ発症直前の入眠前、Pは平熱でした。
真夜中、どすどすという音に気がついて目を覚ますと、Pが隣にいません。
どすどすいう方を見ると、Pが部屋の隅で四つん這いになって、窓ガラスに一心不乱に頭を打ち付けているのでした。
「寝ぼけてるの? 何してるの?」と揺さぶっても、聞き取れない言葉であれこれつぶやき、へらへらと笑いだしたかと思うと立ち上がり、トイレの方向に駈け出して、ドスンと壁にぶつかって床にくずおれ・・・。
 

もちろんこのとき、Pはまだ何も服用していません。
でも全身が熱かったし、幸い、数分で正常な意識を取り戻してくれたので、熱譫妄だ、と思いました。
 

ただ、それが長く続くような場合は、インフルエンザ脳症の前駆症状である可能性が出てきます。
そのときは、すみやかに救急車を呼ぶ必要があるでしょう。
 

なんにしろ、被害を最小限に食い止めてくれるのは、早期発見です。
 
 

■インフルエンザそれ自体が、そもそも危険。
つまり、インフルエンザを発症した子供は、何を服用したか、しなかったかにかかわらず、ずっと見守りが必要なのです。
このことは、タミフルの副作用がうんぬん以前に、もっと知られなければなりません。
 
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しかし、「インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究」が発表された2013年、マスコミはこのことを、あまり表だって報道しませんでした。
タミフルの危険性にはあれだけ騒いだわりに、気にならないのでしょうか。
タミフルの副作用に比べて、話題性に欠けるからでしょうか?
 

このように、メディアの情報というものは、常にバランスを欠いているということを、私たちは、忘れてはなりません。
 

そして、このような偏った報道が、子供を抱えたママさんをいたずらに不安にするばかりか、
逆に「タミフルを飲んでさえいなければ、異常行動の心配はない」という誤解を生むのです。
 
その結果、インフルエンザの子供を、1人でベランダに直行できる二階に寝かせておいてしまったり、
よく寝ているからちょっとそこまで買い出し、などというような、危険な状況をうみだしかねないのです。
 
 

 その2へ続く




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